税金上有利な海外の生命保険
(1) 運用商品としての生命保険金
より高い運用効率を求める場合、海外の生命保険の利用が考えられます。
ここでいう海外の生命保険とは、日本において保険業に基づく免許を受けていない保険業者と締結した生命保険をいいますので、保険業法の免許を受けた外資系保険会社とは異なります。
例えば、米国の生命保険は、現在のところ日本の生命保険よりも運用利回りが高いことから、一般的に受取保険金や解約返戻金の額は日本の生命保険よりも多くなります。終身保険を例にとると、保険加入時に高齢者であっても支払保険料の3倍以上の保険金が設定されることもあるようです。もちろん保険金額は確定した金額ですし、万一緊急に資金が必要になったら解約し解約返戻金を取得することができます。
また、タックスヘイブンの国や地域(例えばマン島やバミューダ諸島)でも生命保険会社が存在し、タックスヘイブン以外に居住する者(非居住者)に対して生命保険を販売しています。このオフショア生命保険では税制上の優遇措置を活用することで保険契約者から預かった保険料を効率的に運用し利回りの高い商品設定にしています。
(2) 一時所得課税で手取が多い
さらに、受け取った死亡保険金は相続税の課税とならず、一時所得の課税となることから課税上も有利です。
相続税法3条1項において、被相続人の死亡により相続人その他の者が受け取る保険金は、相続財産とみなされ、相続税の課税対象となりますが、この場合の生命保険契約とは相続税基本通達により、次のものに限られると規定されています。
「保険業法第2条第3項に規定する生命保険会社または同条第8項に規定する外国生命保険会社等と締結した生命保険契約」
つまり、日本において保険業法に基づく免許を受けた保険事業者と締結した生命保険契約の場合には、その保険金は相続税の課税対象となりますが、免許を受けていない場合には相続財産とはならず、所得税の対象となり、一時所得として課税されるわけです(大阪国税局所得税課編「所得税実務問答集」(財)納税協会連合会)。
前述したように、一時所得は課税上非常に有利であり、実質税負担は受取保険金の約25%以下になりますので、相続税の課税が最高70%*であるのと比較して雲泥の差です。
* 現在では最高50%に改正されています。
(3) 海外で契約しなければならない
しかし、「外国保険業者は、日本に支店等を設けて大蔵大臣の免許を受けた場合に限り、その免許にかかる保険業をその支店等において行うことができる」旨が保険業法において規定されています(保険業法185条)。
また、同法において、日本に支店等を設けない外国保険業者は、大蔵大臣の事前の許可を受けた場合を除いて、日本の居住者に係る保険契約を締結してはならないとし、当該外国保険業者に対して日本の居住者に係る保険契約を申し込もうとする者は、事前に許可申請書を大蔵大臣に提出し、その許可を受けなければなりません(保険業法186条)。
勤務先の関係で海外に長期間滞在している期間に生命保険に加入する場合は別として、保険契約をするために現地に行って、保険加入申請、健康診断及び保険契約並びに事前の許可を行うなどの面倒な手続きが必要になります。もっとも、非居住者(日本人)に保険を販売してくれる保険会社を見つけることが前提であることはいうまでもありません。
さらに、外貨建てであるため為替リスクの問題、生命保険契約者保護の問題(日本では生命保険契約者保護機構により、生命保険会社が経営破綻した場合の救済措置があります)など、様々な検討すべき事項がありますので、実行する際には専門のアドバイザーがいないと実務上は困難であると思います。
「増やし守る金融資産の税金対策」より
1999年7月22日発行
非免許の海外保険会社から受け取った
死亡保険金の取扱い
Q. 海外勤務中に、日本では営業の免許を受けていない外国の生命保険会社の生命保険に加入しました。契約者・被保険者を本人、死亡保険金受取人を配偶者としています。この契約の生命保険料控除はどのようになりますか。また、私が死亡した場合の死亡保険金はどのような取扱いになりますか。
A. 支払った保険料は生命保険料控除の対象になりません。また、死亡保険金は受取人が国内に居住している場合には一時所得として取り扱われます。
生命保険料控除の対象となる生命保険契約は、外国の生命保険会社でもその控除はできることになっています(所法76③)が、その外国の生命保険会社とは日本に支店等を設置し、金融監督庁の免許を受けた会社がその対象となります(保険業法第2条第8項、第185条)。
設間の外国の保険会社が日本にも支店を持ち、日本で免許を受けている場合は、生命保険料控除の対象にすることは可能になりますが、免許を受けていない場合は生命保険料控除の対象にすることはできません。
また、死亡保険金を受け取った場合にも、その保険金がみなし相続財産(相法3)とみなされる生命保険契約は限定列挙されており(相令1①)、免許を受けた外国の生命保険会社となっています。免許を受けていない外国法人と締結した生命保険の場合は、みなし相続財産には含まれないことになり、したがって、受け取った保険金は相続税の課税対象にもなりません。
また、この生命保険は、配偶者が国内に居住している場合、死亡保険金の受取人である配偶者の一時所得として所得税の課税対象になります。
- 相法3
- 相令1
「保険税務Q&A」(保険税務事例研究グループ編)税務研究会出版局
P.262「非免許の海外保険会社から受け取った死亡保険金の取り扱い」より抜粋

