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K┃F┃G┃━━━━━━━━━━━━ No. 334 ∥ Aug 4, 2009 ━━━
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■景気は底入れ?
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経済ニュースで有名なブルームバーグのニュースを見ていたら、気になるコメ
ントが出ていましたので皆様に紹介したいと思います。先週、今週と引用文書
が多いのですが、決して手を抜いている訳ではなく、今の経済情勢を見ている
と気になるコメントが多く目に留まりますので少しでも皆様とシェアを出来れ
ばという気持ちからです。
確かに、世界の株式市場のインデックスを見ているとこの7月はNY、東京、
パリ、フランクフルト、香港、ロンドンとどの市場においても、インデックス
は上昇しております。世界のどの市場においてもインデックスが伸びるという
現象を見ていると、昨年秋からの世界的経済危機も終焉?とも思いたいもので
すが、果たして本当にそうなのでしょうか?
今回、ご紹介する記事は、ブルームバーグの記者の署名入り記事であくまでも
記者個人の見解と注釈を付けられていましたが、注目に値する考えと思い、ご
紹介させて頂く次第です。
【7月29日(ブルームバーグ ワシントン 山広恒夫 Tsuneo Yamahiro)】:
バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は21日に開かれた 下院金融
委員会の公聴会で、「景気には安定化への暫定的な兆候が見られる」と指摘、
景気後退の谷に接近しているとの認識を示した。マクロ経済統計も急速な下
降の後、底入れをうかがう態勢にあり、議長の発言を裏付けている。
もっとも、今回の経済統計の落ち込みは1930年代の大恐慌以来の厳しさがあり
極寒の中で夜明けを迎えることになろう。経済学者で、大統領候補にもなった
ことのあるロン・ポール下院議員(共和党、テキサス州)は、「バーナンキ
議長は今回の金融・経済危機を事前に警告したことは一度もなかった。議長
の経済予測はまったく信頼を失っており、景気後退からの出口だけを鋭く言
い当てることはできない」と手厳しい。
コンファレンスボードが議長証言の前日に発表した6月の景気一致指数(2004
年=100)は前月比0.2%低下の100.3と、マイナス幅が縮小。底打ちの兆しが
表れてきた。同統計でさかのぼれる1959年以降、前回まで7回の景気後退期を
見ると、同一致指数の底入れは景気後退の谷とほぼ完全に重なっている。
今回の景気循環局面では景気一致指数は2007年10月に107.3でピークを付けて、
下降に転換。その2カ月後の07年12月に景気後退に突入した。 同一致指数は、
リーマン・ブラザーズ破たんに見舞われた昨年9月に前月比1.2%と今回の景
気循環局面で最大のマイナスを記録。翌月は急落から小反発したものの、11月
には0.7%低下。年が明けて1月には0.9%低下と下降ペースが加速していた。
【深い落ち込み 】
景気一致指数は前年同月比で見ると今年6月に5.7%低下と、5月の5.9%低下
からマイナス幅が縮小した。このマイナス幅縮小は昨年10月以降初めてのこと
で、景気後退の終息を強く示唆している。前回の景気後退(2001年3月─同年
11月)は、同景気一致指数が同年11月に97.4でボトムを形成していた。この時
は谷も浅く、2000年12月に記録した99.20のピークからの低下率はわずか1.8%
に過ぎなかった。
今回は2007年10月に記録した107.3のピークから今年6月現在で、既に6.5%も
落ち込んでいる。スタグフレーションに見舞われていた1981年7月から82年11
月の景気後退期でさえ、景気一致指数のピークから谷への落下率は3.7%だっ
た。しかも、82年11月の景気底入れから1年 後の83年11月には6.2%も反発し
ていた。
【超金融緩和は長期化へ 】
前回景気後退からの回復局面では、谷から1年後にわずか0.4%の上昇にとど
まっていた。景気一致指数はその後も2003年6月までほぼ底ばい状態で 推移
している。グリーンスパンFRB議長(当時)率いる連邦公開市場委員会(F
OMC)は、同年6月25日に最終利下げを断行していた。 同議長は景気一致
指数が長いトンネルを抜け出すところで、最終利下げに踏み切っており、緩和
の行き過ぎは明白だった。
今回も同指数は景気底入れから、相当の期間に渡り底ばい状態が続く可能性が
高い。この傾向は雇用なき回復と言われ始めた1990年代前半以降に目立つよう
になり、21世紀に入ってから 一段と鮮明になってきた。 バーナンキ議長は21
日の議会公聴会で、「雇用が安定するまで、金融緩和を継続する」と明言して
おり、超緩和策はグリーンスパン時代よりもさらに長期化する可能性が高い。
【フェルドシュタイン教授 】
今回は史上最大級の金融バブルが破裂した後だけに、回復過程の前途は2000年
代前半の比ではあるまい。景気一致指数で6.5%もたたき落とされた極寒の地で
は、日が昇っても地平線をかすめる程度の低い高度にとどまり、すぐ日没を迎
えることになる。行く手にはクレバスも潜んでいる。春の訪れはなお遠い、と
言わざるを得ない。
ハーバード大学のマーティン・フェルドシュタイン教授は21日、ブルームバー
グテレビジョンとの会見で、「米経済は第3四半期に横ばいか、もしくはプラ
ス成長になる可能性がある。しかし、政府による景気刺激策の効果が薄れ、企
業が在庫構築を終える第4四半期に再びマイナス成長となる可能性が高い」と
語った。
今回は雇用なき回復が一段と深刻化。景気は一旦谷をつけたと見えても、再度
落ち込むリスクが高い。フェルドシュタイン教授はまさにその点を突いている。
一致指数系列を個別にみると、FRBが1920年から記録してきた鉱工業生産指
数は昨年秋に崖から落下。前年同月比で今年6月に13.6%低下している。これ
は第2次世界大戦終了直後の1946年以降で最大の落ち込みである。マイナス幅
こそ5月の13.5%とほぼ同率にとどまってきたが、傷は深い。
【崖から転落】
米経済をけん引してきた個人消費も昨年夏から急降下。前年同月比でみると昨
年12月には統計でさかのぼれる1960年以降で初めてマイナスに突入。なおマイ
ナス幅を広げている。 どの統計も米経済が崖から落下したことを裏付けている。
サマーズ国家経済会議(NEC)委員長は今月17日にワシントンで講演、「米
国経済は今年初めに破局の淵をのぞいたが、そこからある程度明確な距離を引
き返してきた」と述べた。
しかし、経済統計は米国経済が現実に谷底に向かって墜落したことを如実に示
している。FRBの異例の資金供給がクッションを提供、谷底に落下しながら
も、瀕死(ひんし)の重傷は免れたということだろう。谷底からはい上がり、
さらに山の頂を目指すには気の遠くなるような長い道のりが待っている。
【ルーズベルト大統領 】
確かに1930年代の大恐慌時の経済統計の落ち込みはすさまじかった。鉱工業生
産指数は32年7月に前年比31%急降下していた。しかし、ここをボトムにして、
マイナス幅が急速に縮小。9カ月後の33年4月にはマイナス圏を脱していた。
ニューディール政策により大恐慌を克服したことで名高いフランクリン・D・
ルーズベルト大統領は33年3月4日に就任した。この時点でまさに大恐慌は谷
を形成した。鉱工業生産指数は株価大暴落に見舞われた1929年10月から2カ月
後の同年12月に前年同月比で5.8%低下とマイナスに転じ、その後なんと3年4
カ月にわたり水面下に沈んだ。鉱工業生産指数はルーズベルト大統領が就任し
た翌月には前年比で横ばいに転じ、5月には同21%も急伸した。同年7月には
62%と驚異的な伸びを記録している。
同大統領がニューディール政策の核となる産業復興法案に署名したのは同年5
月だから、この回復はニューディール政策というよりも、景気循環の力 が相
当程度貢献していたはずだ。米国経済は発展途上にあり、大恐慌の調整過程で
強靭(きょうじん)な底力を蓄えていたのだろう。
【製造業は衰退期】
米経済は19世紀末から始まった電信電話、鉄道、重工業を中心とする第二次産
業革命を先導。20世紀に入って自動車の大量生産を主導し、覇権国に上り詰め
る途上にあった。
今回はそれから約80年が経過。製造業は1960年代に最盛期を迎え、既に衰退期
に入っている。日本の鉱工業生産指数が今年2月に前年比で38%も急低下して
いるのに比べ、米国の落ち込みは小さいとも言える。
しかし、これは米国の生産力が強いからではなく、製造業が既に相当期間に渡
り縮小してきたからである。急落するほどの余地もないということだ。 むしろ、
経済成長をけん引してきた個人消費の落ち込みの深さが目立つ。個人はいきなり
生活様式を変えられないため、表面的には生産ほど大きな落ち込みは見られなか
ったということだろう。ガイトナー財務長官は米中戦略・経済対話で、財政赤字
圧縮とともに、貯蓄率の引き上げを公約しており、構造的に個人消費は抑制さ
れる方向にある。
【回復過程は大恐慌時代より厳しい】
サマーズ委員長は、大恐慌のような事態は避けられたと胸を張ったが、ここから
の回復は大恐慌時代より厳しいものとなるだろう。鉱工業生産は大恐慌時代のよ
うな鋭角的な回復は望むべくもない。 さらに、大恐慌から3世代ほど経過して、
労働者の新たな職に対する適応力も弱まっている。
グリーンスパンFRB議長(当時)は2005年11月3日に 開かれた上下両院経済合
同委員会で、雇用の改善策について、「これからは生涯に2つ以上の職に就ける
ように訓練すべきだ」と、国民にハッパをかけていた。 確かにグリーンスパン氏
はクラリネットとテナーサックス奏者からエコノミストに転じたが、プロの演奏家
としての活動はわずか1年で見切りをつけての転身だった。
同氏のように変わり身の早い人はそう多くはいないだろう。1930年代の大恐慌を克
服したルーズベルト大統領はニューディール政策で土木工事や植林といった公共事
業を多用し、数百万人の雇用を創出した。
【雇用拡大に即効薬なし】
オバマ大統領もルーズベルト大統領をまねて大規模な財政出動を実行しているが効
果は限られている。土木工事に適応できる労働者は30年代に比べれば相対的に激
減している。
さらに、ハイテクの浸透に伴い、熟練工以外の労働者の需要は大幅に後退してきた。
環境関連の新事業も雇用創出への即効性は期待できない。さらに巨額の公的資金投
入や財政の大盤振る舞いは、本来なら退出を余儀なくされる企業を生き延びさせ、
新たな発展への芽を摘みかねない。
これもバーナンキ議長が春先に見たと感じた新芽が幻に終わった一因であろう。
巨大バブルの破裂は経済の構造変革を促すメッセージでもある。このメッセージを
無視したFRBの大量資金供給は重症患者に対する輸血にすぎない。
オバマ大統領の財政刺激策は栄養剤の注入といったところか。こうした集中治療に
より、バーナンキ議長の言う「安定化への暫定的な兆候」は見えてきたが、問題は
容体の安定から、完全な健康体に戻ることができるかどうかだろう。それには構造
改革という厳しいリハビリを避けて通れない。
【新「マーケットの三銃士」】
米経済は1930年代の大恐慌を克服した後、一大発展期を迎え、世界の覇権国に上り
詰める。この発展期は1970年代の狂乱インフレを招いていったん終息した。この転
換期を乗り切ったことで名高いボルカー元FRB議長は当時、「この長い調整サイ
クルはすべての国民にメッセージが届くまで続くだろう」と語り、長期的な調整
を現実のものとして受け止めるよう訴えていた。
ボルカー氏は2008年1月に大統領候補だったオバマ氏への支持を表明。選挙戦中は
大いに重用された。しかし、政権発足後はサマーズNEC委員長とガイトナー財務
長官が経済政策の実権を握り、ボルカー氏の役割は後退したといわれる。
サマーズ氏は1990年代後半の好況期にクリントン政権のルービン財務長官、グリ
ーンスパンFRB議長とともに「マーケットの三銃士」とうたわれた。サマーズ氏
は当時、財務副長官を務めていた。マーケットの三銃士は金融市場の規制緩和を
推進、史上最大のバブル膨張に加担している。 ガイトナー財務長官はルービン、
サマーズ両氏の薫陶を受けて、弱冠38歳で財務次官に昇格している。バーナンキ議
長は生粋の自由市場主義者であり、サマーズNEC委員長を核に新「マーケットの
三銃士」が形成された格好だ。
【ミスマッチ】
しかし、サマーズ、ガイトナー両氏は旧三銃士時代の影を引きずっている。バーナ
ンキ議長もグリーンスパン前議長の手法を引き継ぐと宣言していた。なによりも、
前議長が在任18年間に築き上げたFRBの構造はその強力な官僚機構が守り、
バーナンキ議長を飲み込んでいる。
同議長はグリーンスパン議長に劣らず、実利的な変容が巧みである。オバマ政権
の経済首脳との協力にも抜かりはない。装いを新たにした「マーケットの三銃士」
だが、実体経済とバランスの取れた形に金融システムを変革し、21世紀の構造改革
を推進するにはミスマッチにみえる。金融システムを強化すれば、実体経済がつい
てくるといった金融至上主義そのものが構造改革を迫られているからだ。
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