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K┃F┃G┃━━━━━━━━━━━━ No. 367∥ Mar 24, 2010  ━━━
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■ウォールストリートジャーナルの社説より
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当地バンクーバーは、一昨日でオリンピックに引き続き開催された、パラリン
ピック大会も無事終了し、いつもの静けさが戻ってきました。

パラリンピックでは、日本がアイススレッジホッケーが地元カナダを破り、銀
メダル獲得という快挙を成し遂げ、アルペン種目でも幾つかのメダルを獲得す
るなど、オリンピック以上の活躍を見せてくれました。

個人的には、健常者の活躍するオリンピックよりもパラリンピックの方が、競
技を見ているだけですが、感動する場面が多かったように思えます。4年後の
ソチ大会でも、多くのアスリートが活躍をしてくれる事を楽しみにしています。

日本でもサクラ開花の便りが聞こえてきたようですが、当地は、140年振りの暖
冬との事で、既にサクラは散り始めています。3月も下旬の声を聞き、気持ちの
良い晴天の日が多くなりましたが、今度は、花粉症の季節到来でもあり難渋し
ております。

さて、ここのところ、気になる話として中国の動向があります。先般も、人民
元の事を書きましたが、先進各国が未だ完全な成長戦略に乗れない中、比較的
快調な成長を遂げる中国はやはり注目の的であると思います。

一昨年に北京オリンピックを成功裏に終了させた中国は、今年は、上海で万博
が開催される予定です。1964年に東京オリンピック、そして1970年に大阪万博
を開催したかつての経済成長戦略を突き進んだ日本の姿をダブらして見るのは、
私だけでしょうか。

そんな中国より目を離せないと思っているせいか、面白い社説をウォールスト
リートジャーナルの社説で見つけましたので、少し長くなりますが、紹介させ
て頂きます。


【ウォールストリートジャーナル、3月19日】

【社説】人民元、為替レートより兌換性が問題。

世界経済のぜい弱性は二の次だ、とでも言わんばかりに、米中両国の政治家は
時代遅れの通貨論争を繰り広げている。

この争いでは米国の方が誤りの度合いが大きい。両国が世界を近隣窮乏化政策
的な通貨保護の時代に引き戻す可能性がある中、米国の誤認を理解することは
重要だ。 

<人民元紙幣>

問題は中国が事実上のドル・ペッグ制を採用し、人民元の対ドル相場を約6.83
元に固定していることに尽きる。米国の政治家や実業家によると、このドル・ペ
ッグこそが世界経済の問題の根源だ。

これにより人民元は「過小評価」された状態を維持し、中国の輸出を支える一
方、米国や欧州、その他の地域の国々の経済を損なっており、中国が「変動相
場制」を導入しさえすれば、人民元の高騰で中国の輸出優位性は消失し、世界
貿易の「不均衡」は解消するという。 

オバマ大統領は先週、中国政府に対し、「世界の不均衡是正に貢献する、市場
志向の為替レート」を採用するよう要請した。また、今週は米議員130人が、中
国が人民元切り上げを容認しないなら、米国は中国製品に相殺関税を課すべき、
との書簡を連名で財務省に送付している。 

この論争の中心にあるのは、金融政策への基本的な誤解だ。通貨の場合、小麦や
バナナのような自由市場は存在しない。通貨は世界市場で取引されるが、供給量
は、貨幣の創出で独占権を持った中銀というカルテルにより制御されている。

米連邦準備理事会(FRB)は世界におけるドルの供給を制御しており、このため、
ドルの価値に対する影響力はほかのいかなる市場参加者よりも大きい。固定相場
制は人類史上、稀に見る極悪な経済慣行というわけではない。

第2次世界大戦後から1970年代初めまでのブレトンウッズ体制の下、世界の通貨
の大半は固定されていた。米国発のインフレによりこの体制は崩壊し、これらの
通貨の多くが「変動相場制」に移行した。

一方、ドル・ペッグ制を引き続き採用している国も多い。また、欧州では多くの
国がユーロの誕生とともに固定相場制を選択した。問題は、固定相場制を採用し
ている国は、金融面の独立性を一部、もしくはすべて放棄せねばならないことだ。

ユーロ・ペッグ制の国は欧州中央銀行(ECB)に、ドル・ペッグ制の国はFRBに金融
政策を委ねることになる。ドル・ペッグ制を維持する中国もこれに当てはまる。
中国は金融面の裁量の多くをFRBに移譲し、その見返りに安定した為替レートを享
受している。

この10年余り、この制度は世界経済に恩恵をもたらしてきた。貿易は増加し、安
価な製品の流入で米国民の生活水準は上昇し、多くの中国国民が繁栄を手にした。 
それにもかかわらず、米国は過去数年間、貿易赤字の削減を目的に、人民元を切
り上げるよう中国に圧力をかけてきた。

赤字の多くは(米労働者と株主の利益につながる)競争力の維持を目的に中国に
製造を外注している米企業の社内取引で生じたものであることは気にかけていない。

中国政府は2000年代半ばに一時、態度を和らげ、管理フロート制を採用した。こ
れにより人民元の価値は約18%上昇したが、米貿易赤字への影響はほとんど見ら
れなかった。

中国が08年の金融危機の最中、ドル・ペッグ制を再導入したことで、米国による
人民元の「切り上げ」要求が強まった。 中国がこうした要求に抵抗を示すことは
正しい。

人民元の大幅な切り上げが中国の成長を阻害する可能性があるためではない。中
国は日本の経験から学んでいるのだ。日本は80年代と90年代、通貨切り上げを求
める米国の圧力に屈し、この結果、円の対ドル相場はかつての360円から95年に
80円まで上昇した。

スタンフォード大学のエコノミスト、ロン・マキノン氏が指摘したように、急激
な円高は日本にデフレと失われた10年をもたらした。また、日本の内需低迷と国
際的な価格調整圧力で輸入が減少したため、(輸出が減っても)黒字の解消には
つながらなかった。

中国は世界経済のリセッションからの脱却を主導しており、世界は中国経済の成
長持続を望んでいる。通貨切り上げの代替策の1つは、緩やかな切り上げを伴う管
理フロート制の再導入だ。

しかし、通貨市場の投機筋が人民元のさらなる上昇を予想するなか、こうした施
策は元高圧力を一層強める結果になるだろう。FRBがドル金利を実質ゼロで維持し
ている現在ではなおさらそうだ。

現状が理想的と言っているのではない。中国通貨政策の本当の問題はドル・ペッ
グ制ではなく、人民元の兌換制の欠落と、資本規制の存在だ。こうした問題が、
人民元の貿易通貨としての発展を妨げている。

これは、貿易黒字として中国に流入したドルの民間市場を通じた対外還流ができ
ないことを意味する。中国では中銀である人民銀行がその代役を担い、国内行に
預金されたドルを人民元を用いて購入する。

人民銀が約2兆5000億ドル相当もの外貨準備を積み上げた理由はここにある。中国
による大量のドル保有は世界のひんしゅくを買い、世界的に偏った資源配分を生ん
でいる。

中国はこうしたドル準備を民間投資ではなく、米財務省証券や連邦住宅抵当金庫
(ファニーメイ)証券の購入に使用している。 1つの解決法は、人民元の兌換性
を高め、中国への資本と貿易のフローの調整を中銀ではなく民間市場に任せるこ
とだ。

ドイツはこうした方法で貿易黒字を還流させている。一度きりの小幅な切り上げ
-例えば1ドル=6.5元への切り上げ-を伴う人民元の兌換性向上により、世界の
不均衡の調整に貢献できる上、日本のようなデフレを回避することが可能になる
だろう。 

中国政府は政治的統制力の後退を懸念し、資本市場の開放に抵抗している。人民
元を兌換通貨にすれば、中国の企業・個人が保有通貨や投資を多様化させる動き
から、当初は資本流出が加速するだろう。

だが、やがて-恐らくは早期に-市場は調整を完了し、新たな均衡が生まれる可
能性が高い。加えて、中国国内で金融システムの一層の自由化に向けた圧力を高
め可能性もある。 

米国が外交圧力を行使すべきは、まさにこの部分であり、為替レートではない。
さらに望ましいのは、こうした政策へのシフトを米財務省と中国が共同で宣言す
ることだろう。



この社説、中々、事の本質を突いていると思いませんか? いずれにしても、人
民元の動向と、中国の動向からは、今年は目を離さないと思います。

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