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K┃F┃G┃━━━━━━━━━━━━ No. 373∥ May 4, 2010 ━━━
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■祝・ギリシア支援策合意
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ここ数か月に渡り、世界経済を観察する上での重要要素になっていた、ギリシ
ア危機に対しての支援策がようやく合意に達して、EU委員会並びにIMFで合わせ
て3年間で1200億ユーロに上る支援をギリシアが受ける事で合意に達し、これと
引き換えに、ギリシアでは、増税、公務員の削減、賃金抑制等の施策により、
300億ユーロに上る財政赤字削減策を強いられる事で決着を見たようです。
これにより、最悪のシナリオであったギリシア国債のデフォルトは回避される筈
ですが、当事者、ギリシアの首相が下記のような発言をしているようでは、如何
に国内向けの発言とは言え、「本当に大丈夫かね」と思うのは私だけでしょうか?
[アテネ 28日 ロイター]ギリシャのパパンドレウ首相は28日、欧州連合(EU)
と国際通貨基金(IMF)による支援について、改革推進のために必要なものであり、
救済ではないとの認識を示した。
巨額の国債償還を数週間後に控え、ギリシャの借り入れコストが過去最高水準に
達するなか、EUとIMFの高官はアテネ入りし、今後3年間で1000億 ユーロ以上とさ
れる支援の条件について協議している。
首相は経済関係の会合で、支援を要請し、受け入れることになったのは、改革の
ために必要だからだ、とし、「われわれは救済は要請していない。改革に向けて
適切な条件での融資を求めているだけだ」と述べた。
また首相は、ギリシャの金利を押し上げている市場を非難。「火が他国にも広
がる」前に、規制強化が早急に必要だとの見解を示した。
まあ、「盗人猛々しい」と言えるような逆切れ発言ですが、政治家というもの、
これくらいの開き直りが出来ない事には、政治家としては失格なのでしょう。ど
こかの国の首相も同じ状況に置かれたら同じように発言するのかなと思っていま
す。
さて、このギリシアで面白い現象が起きていたのを皆様は、ご存知でしたでしょ
うか?
【4月29日(ブルームバーグ)】:ギリシャがデフォルト(債務不履行)に向か
っているとの懸念を背景に、ギリシャの銀行のキプロス部門の預金増加は3月で4
ヶ月目となった。
キプロス中央銀行のデータによると、ギリシャの銀行のキプロス部門の預金残高
は3月に3.1%増の81億ユーロ(約1兆円)となり、昨年11月末以来の伸びは15%
となった。
キプロス の金融機関全体では3月に1.3%増加し、4ヶ月間では4.4%増えている。
ギリシャ中銀の29日発表によると、同国の銀行預金は今年1-3月(第1四半期)に
4.5%減少し、3月だけで0.9%減った。
3月末時点の企業や個人の預金総額は2274億ユーロとなっている。 ピレウス銀行
(キプロス)のマネジングディレクター、コンスタンティノス・ロイジデス氏は
28日、ニコシアから電話取材に応じ、キプロスへの資金移転は主に企業関係者に
よるものだと指摘。
「マネーロンダリング規制を考えれば、海外での銀行口座開設はそれほど単純な
プロセスではなく、この選択肢は銀行の一般の顧客向けではない」と説明した。
ご存知の通り、キプロスは、ギリシアに一番近いオフショア域です。幾ら、銀行
の関係者が言うようにその資金移動の殆どが企業関係者によるものだとしても、
これだけ多くの資金がギリシア国内よりキプロスに逃避している事実には注目す
べき事と思います。
利に聡い人達は、やはり早めに資産を海外に移す算段を取り、自分達の資産は自
分達で護るという姿勢を見せているようです。
別段、私は、皆様に危機の警鐘を意識的に鳴らし、皆様の危機感を煽る事を目的
としている訳ではないのですが、今回のギリシア危機を他人事として見るか、自
分達の将来の姿として捉えるかにより、自ずとこれから取るべき途が見えてくる
と思うので、今回のギリシア危機の話をさせて頂いています。
以前にも書きましたが、これからは、各国間で税金の取り合いが確実に起きます。
同時に、自分の資産を働かせる上で、最も有利な条件を提供してくれるオフショ
ア域が無くなる事はないと思います。
しかしながら、オフショア域に対しての目に見えない規制は、少しづつ形になっ
てきています。例えば、弊社で紹介をしている年金プランには、アメリカ在住の
方は、政府の規制により加入できません。
また、身近な例で言えば、香港の香港上海銀行(HSBC)は、アメリカ在住者並び
にカナダ在住者による投資口座開設に関しては、新規分は受付をしなくなってい
ます。
これらの規制に関しての大義名分は、「マネーロンダリングの防止」ですが、そ
の根底にあるのは、キャピタルフライトの防止並びに「税金の取りはぐれ防止」
にあると思います。
ですので、いつ、日本において同様な規制が開始されるかは判らないというのが
私の個人的な考えです。皆様も良く考えてみて下さい。
さて、このギリシア問題に関しては、色々な問題を提起してくれましたが、気に
なる問題として、基軸通貨が今後、どのように変化をしていくかという問題があ
ります。この問題を検討する上で、私の考え方と近い考えをしている評論を見つ
けたので、ご紹介をしたいと思います。
【ギリシア支援策合意で「ユーロ圏が失ったもの」2010年3月26日、Japan
Business Press】
ユーロ圏16カ国首脳は3月25日、ギリシャに対する金融支援策の枠組みで、ようや
く合意に達した。ギリシャが資金調達を自力で十分行えない場合にのみ、あくま
で「最終手段」として、ユーロ圏諸国による2国間融資および国際通貨基金(IMF)
による融資が行われる。
対ギリシャ金融支援におけるIMFの関与は、メルケル独首相が国内事情をにらんで
最近主張するようになり、サルコジ仏大統領の同意を事前に取りつけていたもの
である。
ファンロンパイ欧州連合(EU)大統領によると、支援策が実際に発動される場合
の対ギリシャ融資額は、ユーロ圏諸国による2国間融資がかなりの部分を占めると
いう。
サルコジ仏大統領は、ユーロ圏が3分の2、IMFが3分の1になるだろう、と述べた。
一部で出ていたユーロ圏とIMFで折半という話にならなかったのは、支援の主導権
を握るのはあくまでユーロ圏であり、IMFは「従」だという体裁を取りたかったか
らだろう。
だが、ギリシャ支援策を作り上げる上で、最終的にIMFの関与を認めざるを得なか
ったことで、欧州統一通貨ユーロが失ったものは大きいのではないかと、筆者は
考えている。
今回の対ギリシャ支援策合意によって ユーロ圏が受けるメリットとデメリットを
列挙してみよう。
【メリット】
・ギリシャのデフォルト(債務不履行)リスクが事実上なくなった。
・ギリシャからポルトガルなど南欧全域への危機波及の流れに対し、歯止めにな
り得る。
・以上2点から、債券・為替市場の安定化が期待される。
【デメリット】
・「ユーロ圏は身内の問題を自力・独力では解決できなかった」という見方が成
り立つ。
・IMFは融資実行条件(コンディショナリティー)として、ユーロ圏の今後の経済
政策運営に対し、一定の発言力を有することになる。
・欧州通貨統合の制度的な欠陥は、今回の支援策の枠組みで解決されたわけでは
ない。
・以上3点から、ユーロという通貨について、信認問題が今後もくすぶり続ける。
ユーロ圏首脳が達した合意に対し、トリシェ欧州中央銀行(ECB)総裁は記者会見
で、「有効な解決策が見出されたことを喜ばしく思う」とした。しかし、IMF融資
を併用する支援策が実際には発動されないで済むよう、トリシェ総裁は強く願って
いるのではないか。
同総裁は今回の合意が成立する直前のテレビインタビューで、「IMFやその他の機
関がユーログループや各国政府に代わって責任を負うことは、明らかに、非常に
悪いことだ」と強調していた(この発言が、3月25日の米国市場で、ユーロが対ド
ルで一時1.3267ドルまで急落し、米国株が前日比上昇幅を取引終了直前に急縮小す
る材料になった)。
また、ビーニ・スマギECB理事が3月24日に行われた新聞インタビューで、「IMFが
関与した場合、ユーロは国際機関という外部からの支援によってしか存続できな
い通貨というイメージを抱かれるだろう。
それも、欧州勢が多数を占めず、米国とアジア勢の影響力が増している機関だ」と
発言していたこと が、筆者としては非常に印象深かった。なぜ、メルケル独首相
はギリシャ救済にIMFを巻き込むことにこだわったのだろうか。
閣内の実力者であるショイブレ財務相が当初は反対していたにもかかわらず、であ
る。そうした筆者の疑問に答えてくれたのが、3月25日のフィナンシャル・タイムズ
(アジア版)の記事である。
同記事によると、5月9日に行われる予定の独ノルトライン・ヴェストファーレン州
議会選でキリスト教民主同盟(CDU)と自由民主党(FDP)の与党連合が苦戦してお
り、もしここで敗北すると、州代表で構成されている連邦参議院(上院)で与党が
過半数を割り込むことになるのだという。
ギリシャ救済への反対論が支配的なドイツの国内世論を、メルケル首相は軽視でき
ないわけで、ドイツがギリシャ支援策に関与するのはあくまで「最終手段」である
ことをドイツ人に納得させるために、IMFを巻き込む戦術に出たと考えることがで
きる。
ギリシャ支援策がドイツの憲法裁判所によって違憲判決を受けないためにも、IMF
の関与がある方が有利なようである。筆者が以前のリポートで述べたように、ギリ
シャ問題は欧州通貨統合の根本にある矛盾をさらけ出した。
金融政策はECBが画一的にコントロールしているが、財政政策は基本的に通貨統合
参加国の主権に委ねられており、財政赤字の名目GDP比を3%以内に抑制するなどの
安定・成長協定による拘束があるにとどまっている。
今回、国債発行による財源調達は各国で別々に行われているが、ある国の資金調達
が困難になりデフォルトさえ懸念される場合はどのように対処すべきか、というコ
ンティンジェンシープラン(起こりうる不測の事態、特に最悪の事態を想定して立
てる計画、対処法。)の欠如を、ユーロ圏はギリシャの財政危機をきっかけに、市
場に突かれることになった。
そして、大国ドイツの国内事情も影響を及ぼす形で最終的に出てきた妥協策は、IMF
を巻き込むという、ユーロという通貨にとって中長期的なデメリットが大きなもの
になったと、筆者は理解している。
世の中では米ドルの凋落を取り上げた本がいくつか出ているが、筆者はむしろ、ここ
にきて起こっているのはユーロという通貨に対する過大評価の修正だと考えている。
皆様はこの論評を読まれて如何なる感想をお持ちでしょうか。私個人は、今暫くの間
は「腐っても鯛」で基軸通貨としてのドルの地位は揺らぐ事は無いと考えています。
この評論の筆者が言うように、2008年秋のリーマン事件後、意識的にドルの凋落を受
け、ユーロに基軸通貨が変わる等の論評を多く見ますが、やはり、これらに対しては
更に慎重なる検討を要する事と思います。
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