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K┃F┃G┃━━━━━━━━━━━━ No. 382∥ July 6, 2010  ━━━
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■「真剣なスポーツとは銃撃戦のない戦争である」・ジョージ・オーウェル
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先週、日本代表にとってのサッカーのワールドカップが終了しました。何とも
残念な結果となってしまいましたが、これだけ、我々を興奮させてくれた代表
チームには感謝の言葉を送りたいと思います。

帰国後の記者会見で岡田監督が語った「このチームは素晴らしいチームなので、
せめて、もう1ゲームやらせて遣りたかった」という言葉が印象に残っています。

また、6月30日付けのFinancial Timesの記事で面白い記事が出ていましたので
ご紹介をしたいと思います。

欧州で日本の事はこんな風に見られているのかと、ワールドカップ関連の記事
でありながら愕然としました。幾ら日本代表が素晴らしいチームであっても、
こんな比較は無いのではというのが、私の個人的感想です。


【6月30日Financial Timesより、W杯に見る新たな世界秩序】
(前略)ここではブラジルが「唯一の超大国」だ。W杯で2度以上優勝した国か
ら成る安全保障理事会には、アルゼンチン、ドイツ、イタリア、ウルグアイが
名を連ねる。

米国は中程度の強国であり、フェアプレーの精神で大いに尊敬を集めている。
日本は衰退するどころか、躍進を遂げている。中国とインド(現実の世界では
強国として台頭する国)はW杯今大会に出場する資格を得られなかったため、そ
の姿さえ見当たらない。

サッカーという惑星では、台頭する強国は概して、26日に米国チームを下して
敗退させたガーナの 「ブラック・スターズ」などのアフリカ勢だ。サッカーが
愛国心のはけ口になるのは間違いない。

だが、サッカーは各国に称賛と敬意を勝ち取るチャンス、さらには自国のブラ
ンドを示し、再定義する機会を与える場でもある。日本が年寄りばかりの停滞
国家だなんて誰が言った? 

政治経済の評論家の感想だけを読んでいたとしたら、読者は、日本が停滞した
体制順応的な国家であり、年金生活者と相撲取りくらいしか住んでいないよう
な印象を受けるかもしれない。

ところが、日本のサッカー代表チームはW杯で抜きんでた存在となっており、若
々しく、生きる喜びに満ち、南アフリカ大会でも屈指の想像力に富んだプレー
(と髪形)を披露している。(後略)



残念な事に既に欧州では、日本は、“年寄りばかりの停滞国家”と思われている
のが事実のようです。更に悲しい事に日本の多くの方はその事実(?)に気付い
ていないのかもしれません。

オーウェルの言葉を借りれば、日本はW杯という戦争で、代表チームは国の威信
を掛けて善戦をする事により、日本の国威を世界に示す事ができたのかもしれま
せん。

そんな元気を再度、スポーツの世界だけでなく、経済戦争とも呼べる実世界の中
で国威を示して貰いたいと考えている矢先に下記のような記事が目に留まり、正
直、「また、中国!」と感じた次第です。



【7月1日 ジャパンビジネスプレスより、北京・ミンスク決済同盟】
中国は、人民元を国際通貨にしたがっている。けれども日本がしたように、国際
資本移動を自由にし、市場の取引で円が自由にやり取りできる道へ進んだように
は、一挙に進もうと思わない。

米国のバラク・オバマ大統領は先頃、人民元の対米ドル相場は今より2割高くて
よいと言ったらしい。ビル・クリントン政権発足当初、全く同じことを米国が日
本に対して言ったのを思い出す。

2割の円高を2年続ければ、日米貿易不均衡は2割改善する──そんな「理論」がホ
ワイトハウス周辺で大いに人気を集め、現に市場を信じ込ませて、1995年の夏に
なだれ込んだ。ドルが80円を割った時だ。
 
経済学者ポール・クルーグマンらが「マサチューセッツ・アベニュー・モデル」と
称して流布させたこの為替理論について、筆者は単行本やいろんなところで書い
たからこれ以上触れないが、北京がもし日本円の辿った閲歴に関心を払ってきた
のだとすると、大統領の口から「2割」という言葉が出るのを見てピンと来たとし
て不思議はない。

人民元を市場の力にさらしてしまうと、結局ああなる。──つまり日本円のよう
に暴力的通貨高へ持ち込まれ、その「履歴効果」によって、国内産業構成自体を
変えられてしまう──とそう、北京が考えているとひとまず仮定してみよう。

もしそう考えるなら、一見したところ矮小(わいしょう)に見える中国流通貨国際
化政策が、市場の暴力をせいぜい迂回しつつ、少しずつではあれ人民元の通用力
を高める方途であるかに見えてくる。

例えばベラルーシとこのたび中国が結んだ取り決めであり、やがてパキスタンと
も始めようとしている枠組みがそれだ。

今年3月、中国の中央銀行、中国人民銀行(PBOC)は、ベラルーシの中央銀行と協
定を結んだ。2国間貿易の代金決済を人民元か、またはベラルーシ通貨(ルーブル)
でできるようにするものだ。

これに先立ち、2009年の3月、両中央銀行は向こう3年にわたって200億元と8兆ルー
ブルを交換し合う(スワップする)枠組みをあらかじめ拵えてあった。ちなみに直
近レートで200億元は8兆8600億ルーブル程度となる。

当時としては、やや元高の相場設定だったと思える。ともあれ想像するに、この枠
組みを使おうとする中国の貿易業者は、中国からベラルーシへ向け売った輸出品の
代金を、PBOCから人民元で受け取る。

ベラルーシから買い入れた商品の代金は、PBOCへ人民元で支払う。入りも、出も、
いずれも自国通貨。為替リスクが発生しない。さらに言えば、米ドルは媒介通貨と
して介入しない。

ベラルーシの側で、同じことが起きる。中国から買い入れた輸入品の代金を支払う
のに、ドルを使う必要はない。自国ルーブルで首都ミンスクの中央銀行に支払う。
中国へ向け売った輸出品の代金は、中央銀行からルーブルでもらうことになる。

当然、両中央銀行の口座には、ある時点で輪切りにした時、両国企業が互いに対し
やり取りした金銭取引の相殺残高がプラスか、マイナスで残る。それの決済を、互
いにプールし合っている双方通貨を用いて実施するのであろう。

これは新しいようで古い制度で、昔からクリアリング・ユニオンまたは決済同盟と
して知られるものだ。ちなみにジョン・メイナード・ケインズは戦後国際金融秩序を
構想するに当たり、世界の中央銀行を1つ建て、各中央銀行と決済同盟のネットワー
クを結び、収支尻の最終決済に独自通貨(バンコール)の与信をもってする形式を
考えた。

ニューヨークが持つ決済機能を逃れ、ドルを媒介通貨としない方法を求めるなら、
結局このやり方をいちいち2国間で結んでいくしかない。物と物の実物取引決済に
限り、しかも貿易総額がさほど大きくないうちは、これで機能し得るのか。

同じ決済同盟を、中国はじきパキスタンと結ぶ。伝えられる青写真によれば、まず
は新疆ウイグル地区で中国・パキスタン両国業者が取引する場合、決済通貨に人民
元を当てることにする。

のち、ベラルーシ・中国間にあるのと同様の取り決めが交わされ、両国通貨を融通
しあうスワップ協定、しかるのちに決済同盟へと進んでいく模様だ。
 
米国はもっぱら静観の構えで、まだまともに論じる対象と見ていない。米国の学者
たちから、めぼしい論文が出ているわけでもない。しょせんは弱小貿易相手とのご
く限定的取引に使用されるだけだろうが、このやり方によればベラルーシとパキス
タンの中央銀行で、ドル準備のいくばくかは確実に人民元に入れ替わる。

何より、北京との密な関係を証し立てる政治的証印になる。北京の側にある動機は
経済的であると同じ程度に政治的であろう。飛車角を取ろうというのではないが、
小さくても歩を集めていこうというような。



そもそも、日本の現在の経済停滞状況は確かにバブル経済を封じ込める為に取った
政府の総量規制並びにバブル崩壊後、一度は回復し掛けた経済状況に対して金利の
引き上げという時期尚早な誤った金融政策を取った日銀の金融政策ミスさらにその
後、政府が景気浮揚を目的に財政出動を歳入度外視で繰り返したツケが今の状態を
作ったという考えが一般的とは思います。

確かにその事実は否定できませんが、そもそも論で言えば、1985年のプラザ合意で
強い円に対しての当時の先進4カ国(アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ)の圧
力に今の中国のようなしたたかさを持たない素直な反応を見せて、圧力に屈して円
高を容認した事に出発点があると私は考えています。

常に、アメリカの意を呈して、アメリカの為に動く事を国益と考える政治家、官僚
により政策決定が為されている日本では致し方の無い事かも知れませんが、日本に
も中国のようなしたたかさがあればと思うのが、個人的な考えです。それにしても、
中国のしたたかさには、正直、驚きを感じ得ません。

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