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K┃F┃G┃━━━━━━━━━━━━ No. 463∥Feb. 1, 2012 ━━━━━
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╋╋╋╋╋╋╋ 今 週 の ち ょ っ と 役 立 つ い い 話 ╋╋╋╋╋╋╋
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■CDSという時限爆弾と国会論議
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今回は、少し長くなりますが、日本の置かれている現状を再認識して頂きたい
と考えています。お付き合い下さい。
日本の消費税国会は、欧州におけるソブリン危機や、アメリカの景気回復の
遅れを横目で睨みながらも、政党間の覇権争いに終始をしているようです。
国会は、年金財源の試算を公表するしないで大揉めになり、消費税値上げと、
年金改革を行う為の法案審議の初端にも付けない状況の様です。
強いリーダーシップと覇気を持った政治家不在を感ずる日本の状況です。
ドジョウと評される野田首相も、言っている事は立派なのですが、どうも
覇気が感じられません。
自身の政治家としての進退を掛けて消費税値上げ、社会保障改革を行うと
言いながら、どうもその後に出てくる発言は、その場しのぎの、一時的な
逃げの発言としか思えません。
年金財源の試算公表の問題にしても、消費税を17%まで値上げしなければ、
民主党の考える最適な社会保障制度が作れないのなら、正直に試算を公表し、
かつ説明責任を果たした上で国民に理解を求め、その結果、国会で揉めるの
なら、解散をして国民の信を問えば良い話と思います。
自らの政権党としての既得権を護りたいが為に、小手先と一時しのぎだけの
方策で、この国難とも言える状況を乗り切れる訳はないのですから、腹を
括って、主張すべきは主張し、議論すべきは徹底的に議論をして結果を出
すべきと思います。
かつて、郵政の民営化を巡り、政権党内である自民党からも反対論が続出し、
四面楚歌となり衆議院を解散して、郵政民営化を通した政治家がいました。
結果論的には、彼は勝てるという計算の下に解散を行い、自らの意思を通したと
論評されていますが、それは結果論であって、その時点では確たる確信があった
様には思えません。それ位の覚悟を、野田首相と民主党に求めたいと思います。
一方、外に目を向ければ、欧州のソブリン危機は、ギリシアは着々とその
計画的デフォルトへの道を歩んでいるようですし(何でも2月上旬には、民間と
ギリシア政府との間で、民間がその70%の債権を放棄する方向で話が纏まるそうな。
これで話が纏まるという事であれば、これは一種の政治的決着であり、EU各国が
自国管轄下にある金融機関に対して“EUの為”という大義を掲げ、かなり強力な
圧力を水面下で掛けている事と思います)、先週より今週に掛けては、今度は
ポルトガルが危ないという話が流れています。
ギリシアが、何故、計画的なデフォルトへの途を無理やりにでも取らせようか
としていると言えば、これはCDS(Credit Default Swap)という時限爆弾を爆発
させずに、事を何とか収めたいとの希望があるからです。
このCDSという爆弾は、非常に厄介なもので、かつての2008年のリーマン危機の際、
潰すに潰せず、政府に救済をして貰い、命脈を保ったAIG(American Insurance Group)
が、このCDSにより破綻寸前まで行った事は、記憶に新しい事と思います。
ギリシアが無計画なデフォルトという騒ぎになれば、このCDSという時限爆弾が
爆発し、欧州だけでなく、世界中の金融システムが崩壊するかもしれない大惨事が
起きる可能性があります。
さて、このCDSですが、日本においても「疲れも吹き飛ぶ他人の不幸」と傍観して
いられる状況ではありません。そもそも、CDSというのは「倒産保険」です。例えば、
A社が倒産すると、その発行している社債がデフォルト(債務不履行)になって10%
しか返済さないとします。このときA社の社債を持っている銀行は損するので、この
債券に保険をかけて残りの90%を得られるようにするのがCDSです。
その特徴は、債券を持っていない人でも買えることです。A社のCDSスプレッドが
1%だとすると、100億円の社債のCDSを1億円で買うことができる。社債が普通に
償還されればCDSは掛け捨てになりますがが、デフォルトになると90億円が得られます。
これは極めて小さな確率で発生する大きな損失に賭けるハイリスクの空売りで、
分かりやすく言うと他人の家に火災保険をかけるようなものです。火災保険では
こういう保険商品は禁止されているが、金融商品では合法です。
CDSが上がるのは、その債券のリスクが高まっていることを示すので、格付けを
数値化したものと見られます。例えばトヨタ自動車の1月30日現在 のCDSスプレッド
は0.78%。これは大ざっぱに言うと市場がトヨタの倒産がこれぐらいの確率で起こる
と見ていることを示しています。
では日本国債のCDSはどうなっているだろうか。1月30日現在の日本国債のスプレッド
は1.35%。トヨタの1.7倍です。最近は少し落ち着いていますが、今月上旬につけた
1.54%は、2011年10月の市場最高値と並んでいます。
CDSは、債券相場の先行指標として知られています。90億円を得るために1億円あれば
いいので、資金量の少ないヘッジファンドが好んで購入します。ヨーロッパの金融危機
でも各国の国債のCDSが最初に上がり始め、それに長期金利が追随する形で危機が拡大
しました。
もちろん1.35%というのは、ポルトガルやギリシャ(50%以上)に比べればはるかに低い。
長期金利も1%前後で落ち着いており、今すぐ日本国債が暴落する(金利が急上昇する)
ことは考えにくいですし。相対的には円の信頼性は高まっており、円相場も3カ月ぶり
の高値をつけた事も事実です。
しかし一般には、リスクプレミアムを表現するCDSスプレッドは、リスクプレミアム+
金利収入を表す長期金利より低いのが普通です。ところが長期金利よりCDSの方が
0.35%ポイント高いという状況は、日本国債のリスクが過小評価されている可能性を
示唆しています。
これは国債の主な買い手が邦銀だからです。国債の入札に際しては、財務省が周到に
根回しして相場が大きく変動しないように発行額を調節しています。他方、CDSの主な
買い手は海外のヘッジファンドであり、こっちが世界の正直な評価とも言えます。
しかしながら、長期金利が上昇しただけでは、直ぐには国債のデフォルトはおきません。
その代り、加熱したインフレが発生し、実質的にデフォルト状態に陥ります。かつて
アルゼンチン等で起きた国債デフォルトは、この形を取っています。
事実、CDSで濡れ手に粟の利益を掴まんとするヘッジファンドは、意識的に日本の
危機的状況を煽る発言もしています。これらの発言に何も踊らされる事は無いと思い
ますが、それでも、事実、CDSの値が上昇している事は事実ですので日本の置かれて
いる危機的状況を十二分に警戒をする必要があると考えます。
資金需給から見ると、個人金融資産と政府債務残高の差はまだ200兆円ぐらいあり、
今すぐ暴落が起こることは考えられませんが、市場が一斉に狙いをつけるとそういう
基礎的条件とは無関係に暴落が起こります。イタリアの基礎的財政収支は黒字なのに、
CDSスプレッドは4%を超えている事に注目が必要です。
このように国内のリスク評価が海外とずれている原因は、邦銀が「空気」を読んで
国債を買い支えているためと思われる。国際決済銀行(BIS)の自己資本規制で、国債が
自己資本に算入されることも大きいと考えます。
しかし邦銀は国家に奉仕する慈善事業ではなく、純然たる民間企業です。長期金利が
1%ポイント上昇すると9兆円の評価損が出るので、危なくなったら逃げるしかありま
せん。日銀のレポートが示すように、メガバンクは国債の保有高を増やしていますが、
長期から短期に借り換えており、債券の平均投資年限は2年半という数字が出ています。
国債が暴落しても償還まで待てば額面で償還されるので、これはメガバンクがあと
2年半は国債のデフォルトは起こらないと見ていることを意味しています。。しかし、
地銀(地方銀行・第二地方銀行)の平均投資年限は4年半に増えており、預金の満期と
のミスマッチが拡大しています。
実際には、財政破綻はデフォルトやハイパーインフレといった派手な形ではなく、
じりじりと長期金利が上がるという形で起こると考えられます。それがいつ起こるかは
分かりませんが、起こり始めると急速におきます。
ポルトガルの長期金利は、1年前には6%未満だった事実を認識すべきです。日銀に
よれば、長期金利が1%ポイント上がると地銀の自己資本が30%浸食されるので、4%
ポイント上がると債務超過になります。
このとき資本注入などの措置を取らないと金融システムが崩壊しますが、銀行救済が
財政危機をさらに悪化させる悪循環に陥いります。ヨーロッパを見ても分かるように、
財政破綻の最大の 影響は金融危機なのです。
国会での税制改革論議、社会保障論議をする前に、これら日本の置かれた実情を政治家の皆様は
再認識をする必要があるのではないかと思います。
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